【第10回 ESEC】Windows Embedded CEは6.0で3つ目の波を迎えている——マイクロソフト プレスセミナー
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
なお、組み込み機器市場での高い成長の牽引役となったのは、最新バージョンのWindows Embedded CE 6.0ではなく、Windows Embedded CE 4.0や5.0など旧バージョンであることのこと。梅田氏はマイクロソフトにとって、今3つ目の波が起きつつあると語った、1つめの波は最初のバージョンであるWindows CEの登場、2つ目の波はOSに合ったBSP(Board Support Package:評価ボードでOSを動作させたり、アプリケーションを開発するためのデバイスドライバ群)や、ソフトウェアなどが整備されていること、そして3つ目の波となるのが、開発者がWindows Embedded CE 6.0を採用し、実際の製品が登場することであるとした。
続いて旧バージョンとWindows Embedded CE 6.0の違いに話が移り、Windows Embedded CE 6.0は成長が著しいデジタル家電やネットワーク家電に合わせて作り直された新しいOSであるということが語られ、「コネクティビティ」「ディベロップメント パワー」「シェアードソース」の3つ強化ポイントについて紹介を行った。コネクティビティの項目では、新たにBluetooth A2DPプロファイルや、WMM、QoS、WMP2といったプロトコル・ミドルウェアがサポートされたことが紹介された。
ディベロップメント パワーの項目では高機能なネットワーク家電などでの使用に耐えうるようカーネルが再設計されていることが紹介された。カーネルを再設計したことにより、同時に実行できるプロセス数が32から32,000へ増加するとともに、仮想メモリの領域も32MBから2GBへ拡大している。また、開発環境に関しても、従来Windows CEの開発環境として提供されていた「Platform Builder」を、Windowsの開発環境である「VisualStudio 2005」に統合したことにより、OS、デバイスドライバ、アプリケーションを使い慣れた環境で開発できるようになったと語った。
シェアードソースの項目に関しては、マイクロソフトが知的財産を管理するソースコードが公開されてという点や、ユーザーは必要に応じてコードを改変できるということ、また、改変したコードはGPLのように公開する義務は発生しないので、ユーザーの知的財産を保護することができるという利点について紹介を行った。
一般的に新OSが登場し、そのOSが搭載された機器が登場するまでには、かなりの日数を必要とするのだが、梅田氏からはWindows Embedded CE 6.0対応製品として、NECディスプレイソリューションズが欧州市場に投入しているネットワークプロジェクタについて解説が行われた。Windwos Embedded CE 6.0が発表されたのは2006年11月で、ネットワークプロジェクタが発表されたのは2007年2月。この短い期間で製品化できた背景については、マイクロソフトがOSの他に、機器を構成するための汎用的なコンポーネントを提供(ネットワーク家電や、デジタルビデオレコーダなど複数のジャンルにまたがる)したことにより、開発期間を大幅に短縮することに成功できたそうだ。
続いて、NECエレクトロニクス、C2Sillicon Software Solutions、アキタ電子システムズ、ソフィアシステムズ、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン、アットマークテクノ、横河ディジタルコンピュータ、富士通ラーニングメディアといった、パートナー企業が登壇し、Windows Embedded CEを搭載した製品や、評価ボード、認定トレーニングなどについてプレゼンテーションを行った。そして最後にマイクロソフトの梅田氏が再度登壇し、今後はパートナー数を増やし、サポート環境を拡充していきたいと意気込みを語った。さらに、6月6日には目黒雅叙園において、Windows Embedded、Windows Mobileの開発者向けテクニカルカンファレンス「MEDC2007 Tokyo」が開催されることが紹介された。
《青木聡史》
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