【連載「視点」】従来の写真販売ビジネスを変えた!攻めの着眼点とは? 3ページ目 | RBB TODAY

【連載「視点」】従来の写真販売ビジネスを変えた!攻めの着眼点とは?

エンタープライズ その他
フォトクリエイト代表取締役社長・白砂晃氏
フォトクリエイト代表取締役社長・白砂晃氏 全 6 枚
拡大写真
■飛躍のきっかけになった東京マラソン

 白砂氏は早稲田大学政治経済学部を卒業後、NTT東日本に入社。支店でSOHO担当としてISDNを販売していたが、1年後の2000年3月にサイバーエージェントに転職。2001年にはシーエー・モバイルに出向し、モバイル広告を立ち上げた。ところが翌年には同社を退社し、現在のフォトクリエイトを設立している。白砂氏はNTT時代にインターネットに触れ、ネットの世界観を常に気にかけてきた。当時は、撮影した写真をネットにアップして共有していくサービスが存在していたが、プロが撮影したものを販売する仕組みはなかったという。「創業を一緒に行った高校時代の同級生が、当時は富士通にいたんです。彼が4ヵ月間海外に行っていて、帰ってきたときに、アメリカにはプロのカメラマンが撮影した写真を販売するプラットフォームがあり、それを貸し出すASP事業があると聞いたんです。そんな事業は日本にはまだありませんでした」。これがヒントになると同時に、広告ビジネスにもつながるという予測もついた。「ネットには既得権益がないじゃないですか。そういう意味で街を作りやすい。街は人の集合体で、人を集めることが重要です」「写真を売ることによって人が集める大型の写真展をやっているイメージがある。いつかは広告ビジネスにもつながるというのは考えていた」(白砂氏)。現在同社のユニークユーザーは1000万人にもなる。いろんなイベントにおいて人が集まれば集まるほどビジネスになっていく。

 実は同社が飛躍するきっかけになったのは東京マラソンだった。東京マラソンは大型大会のひとつだが、3万6000人のランナーをプロカメラマン70人で撮影。背景に東京タワーやスカイツリーが入る場所にカメラマンを配置するなど工夫した。参加したランナーは、後日ウェブサイトで自分のゼッケンナンバーを入れるとその人の写真の一覧が登場し、気に入ったものを購入できる。ゼッケンと写真との照合は、中国とベトナムで行っている。この手法がうけた。現在では170人のカメラマンを投入し、カット数は130万カットにのぼっている。これらのマラソン大会は国内で約600イベント。ブームが追い風になり、大会はまだまだ増える。1県で1つのマラソン大会をやっていこうという動きさえあるという。その分カメラマンのハンドリングは大変だが、数多くのイベントをこなしていくと同社には経験則がたまっていく。同社には撮影した写真をチェックする部門もあり、カメラマン、大会、カット、売上げが全てヒモ付いているため、どのカメラマンが何を撮りにいくと売上げがどれくらいになるかという予想がつくという。過去のデータを見ながら次の大会のアサインを行っていけるのだ。現在カメラマンの登録数は1369名となっている。

 スポーツ系領域の売上げは同社の50%を占める。進出したのはマラソン大会だけではない。サッカー大会も、たとえば幼稚園から大学・一般までをカバーし、それがクサ大会と言われるものから区大会、県大会、全国など様々なブロックを網羅している。「大会は“記念度”が高く低年齢のものがよく売れる。一番売れるのは幼稚園の大会だ」という。

 実は同社が入り込んだ最初の仕事は社交ダンスの大会だった。「そこそこ芸能人もやっていて、お金も時間も余裕がある人たちが写真を買うのでは?」という気持ちからウェブで大会をチェックし、営業をかけていったという。そのビジネスは現在スポーツ全体に広がり、年45000イベントをこなすまでに成長した。昨年10月には台湾でも事業を展開。台湾で開催されたマラソン大会で、東京マラソンと同様のサービスを展開した。

 事業の中心は、イベントを通してその人のストーリーを撮影していくことだという。同社のサービスは、結婚式では新郎新婦の両親に対して売れるというが、必ずといって良いほど思いでの写真を披露するシーンがある。もし、顔認証技術がもう少し進化すれば、同社の写真ストックから個々人のストーリーを簡単に拾い出すことも可能になっていくかもしれない。
  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3

《RBB TODAY》

【注目記事】

この記事の写真

/

関連ニュース