【連載「視点」】新しい地域活性の形!田舎体験宿泊予約サイト「とまりーな」の戦略 | RBB TODAY

【連載「視点」】新しい地域活性の形!田舎体験宿泊予約サイト「とまりーな」の戦略

エンタープライズ その他
とまりーな
とまりーな 全 5 枚
拡大写真
■外国人が地方に現れれば日本が変わる

「そもそも地方に観光資源なんて少ないんです。観光資源を磨くという言葉をよく聞きますが、磨くだけのものがあるのかと。例えば、京都の方がいいと言われたらそれで終わりなんです」。
 田舎の農家や漁師の家、古民家などへの宿泊予約サイト「とまりーな」を運営する百戦錬磨(直接の運営はとまれる株式会社)の代表取締役社長 上山康博氏は話す。現在、協力してくれる家は東北で300件ほど。長野県の農家などとも話を進めている最中で、早い段階で全国約1万件にもっていく予定だ。

 グリーンツーリズム、エコツーリズムという言葉がもてはやされた時もあったが、結局成果がでているものは少ない。期待値はあったがブレイクしない。従来の画一的な手法に、上山氏は疑問を投げかける。

 上山氏は地方を差別化して魅力アップしていく手段は、そこに住んでいる人にフォーカスするしかないとし「住んでいる人が観光資源なんです」と力説する。旅行関係の前職で地域振興を手掛けたときは、地方が皆同じアピールを行っていることに気が付いた。その時を振り返り「まるで駅ナカと同じで、駅前のロータリーに降りてもどこで降りたかさえわからない状態」と表現する。「もっと地域性を出していく。“いかにもこの地域”、といったものを出していかなと、しょぼい東京、しょぼい京都になってしまう」と危機感を表す。

 地域の魅力も出せないから、日本の旅行業界が夢にまで見た長期滞在型という旅行もなかなか実現できていない。「一か所に長期滞在するには、なにかしら生活に根付いて体験できる環境を作らなければいけない」(上山氏)。「とまりーな」に登録されている農家(民泊)では、何かしらを宿泊者が体験する。いわゆる体験の延長に宿泊があるのが「民泊」だ。これに対して「民宿」は旅館業法の簡易宿所の免許をとっているため、宿泊を主体とした施設となる。「民泊では、たとえば農業をやったことない人にとっては仕事体験であり社会体験なんです」(上山氏)。

 こうした田舎体験が見直されている背景もある。「以前と比べると、家族構成が変わってきており、田舎がない親とかもいます。おじいちゃん、おばあちゃんも都市に住んだほうが楽。だから“田舎に帰る”という感覚がないし、自分たちが体験したような虫取りなどもできなくなっている」と話すのは取締役部長の三口聡之介氏(とまれる株式会社代表取締役)だ。田舎がない人たちにとって土いじりは貴重な体験だ。また、一度農家に宿泊するとホストと家族のようなつながりができるのも、一般の旅行では体験できないメリットだ。

 しかし、これらの体験型宿泊に強い関心を持っているのは、日本人よりも、むしろ外国人だ。そもそも、欧州などの旅行者は観光スポットを足早に訪問するような旅行よりも、地域に入り込む体験型の旅行を好む傾向にあるという。そいう外国人にとっては、これら「とまりーな」で提供している民泊は魅力的にうつる。

 上山氏は「外国人が地方に現れること自体が日本を変える」と強調する。「なにもかも一度は外からやってくる。それを消化する力は極めて高いので、動き出す外国の力だと思う」。2020年の東京オリンピックを見据えて、地方がインバウンドビジネスに動き出しているが、そう簡単なものではない。「とまりーな」では英語版も作成し、外国人も視野に入れた戦略をたてている。
  1. 1
  2. 2
  3. 続きを読む

《RBB TODAY》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース