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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第73回 SIMロック解除義務化で再び脚光を浴びる「併売店」

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札幌の中心、すすきのにほど近い「ゲオモバイル札幌狸小路4丁目店」
札幌の中心、すすきのにほど近い「ゲオモバイル札幌狸小路4丁目店」 全 9 枚
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■ユーザーをサポートする「スマホ相談員」

 ゲオモバイルがウリとしているのは、全店に配備される「スマホ相談員」の存在。スマホをめぐる顧客のあらゆる相談に対応してくれる。

 回線契約や関連手続きを一定数こなさなければ採算が取りづらいキャリアショップでは、とかくスマホを売ることばかりに集中せざるを得ず、実際には時間を割いて顧客に丁寧な説明をする余裕はなかなか無いのが現状だ。

 ゲオモバイルの場合、既存キャリアの新品スマホも取り扱う一方で、主力は中古端末の販売であり、だからこそ、顧客の要望に応じて、さまざまな疑問にしっかりと対応してくれる相談員が常駐する意義は大きい。

 「ゲオモバイル」は、まだ全国で50店舗、2016年度までに100店舗に拡大していくことを目標にしているが、専売店以外に1,000店舗を超す直営店があるのは大きな強みである。ゲオ店舗を訪れた方はお分かりと思うが、ゲオモバイル店舗に限らず、全国どのゲオに行っても中古スマホやMVNOのSIMの取り扱いを行っている。在庫端末数は少ないにしても、中古スマホをどこでも購入できる体制は構築できている。

 さらに、全国のゲオや、セカンドストリートといった系列店で、スマホの下取りを行っている。これら1,000店舗を超える全国の系列店におけるスマホの下取りだが、各店舗にてゲオ独自基準を満たしているものは、そのまま買取を行っている。そして、ゲオの「買取り端末加工センター」(札幌、名古屋、福岡にある)にて点検とクリーニング、さらに端末の完全初期化(前ユーザーの個人情報等が漏洩しないよう、ランダムな文字列の上書きを行った上で初期化するという特殊作業)を行い、ゲオモバイル店舗をはじめ、全国のゲオ店頭に流通させていく体制を整えている。

 福岡や札幌などでは、来日観光客の来店も極めて多いという。とくに中国からの観光客が来ると、時には店頭在庫をすべて買い上げていくようなケースもあるという。こうした場合でも、「買取端末り端末加工センター」から直ちに在庫を補充できるような体制を整えており、店頭在庫が底を尽きないような工夫をしているという。

■各キャリアを横断的に提案する「専売店」の存在

 かつて、携帯電話が一般消費者の手の届く価格まで下がってきたとき、その普及に大きく貢献したのが「携帯電話併売店」の存在だった。各キャリアの看板を掲げたキャリアショップよりも安価で、しかも全キャリアの製品を取り扱ってきた。黎明期の携帯電話販売店では、携帯電話サービスの内容を親切丁寧に顧客に説明し(その中には当然、各キャリアのエリアやサービス内容の違いなども含まれる)、顧客が十分に納得の上、携帯電話を購入していた。のちに悪質な併売店も増え問題になったこともあったが、やはり現在のような携帯電話、スマートフォンの普及の足がかりは併売店によるところが大きいと考える。

 その後、MNPがスタートするにあたり、容易に他のキャリアとの比較ができてしまう併売店の存在に危機感を感じた通信キャリア各社は、成績の良い併売店を上位代理店に格上げさせ、さらにキャリアショップ(ドコモショップ、auショップなど)の看板を与え、他のキャリア製品を扱わないよう、自社への囲い込みを行っていった(2006~2007年頃)。その頃から併売店の数は激減し、携帯電話・スマートフォンを契約するのはもっぱらキャリアショップでという流れが主流になった。これでは簡単に他のキャリアとの違いを知った上で契約するということができない。こうした通信キャリアの、いわば「販売店の囲い込み」政策にも筆者は常々疑問を感じてきた。
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