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“動画配信元年”はまだこれから……HuluとdTVのキーパーソンが語る「VODの未来」

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「新世紀テレビ大学」のイベントで開催されたパネルディスカッション
「新世紀テレビ大学」のイベントで開催されたパネルディスカッション 全 4 枚
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 ディスカッションの後半では、今後の動画配信サービスとテレビ放送の関係性について議論が及んだ。村本氏は「動画配信サービスは、テレビになろうとしているわけではない」ことを強調する。

「なぜなら、それぞれに役割分担が明確に異なっているから。Netflixの日本市場参入をきっかけに、“テレビの役割は終わるのではないか?”という議論も出てきているが、私はテレビ放送は残るだろうと思っているし、動画配信は新しい映像の楽しみ方を切り拓いていく役割を担うと捉えている。現代人の生活には音楽やゲーム、アウトドアレジャーも含めて様々な娯楽が溢れているので、“映像を見る”ためにどれほどの時間を使ってもらえるかということを、テレビと動画配信が一緒に考えていかなければならないと思っている。そのためには動画配信はこれからテレビ放送に迫る面白いヒット作を数多く制作して、成長しなければならない。そのためには映画やテレビ的なコンテンツばかりを揃えることがベストだとは考えていない。動画配信ならではの新しいチャレンジもしていきたい」(村本氏)

■「動画配信元年」はまだこれから。文化として育てていきたい

 かたや船越氏は「とはいえ、家庭の中にテレビの台数が減ってきていることは事実として受け止めることながら、そこから動画配信の展望を考えるべき」という見解を示す。

「一家庭が所有する“2台目のテレビ”の数は、年々減り続けている。子ども部屋にはもうテレビがないといわれているし、一人暮らしの学生にはテレビは必要ないから持っていないという方も多いと聞く。ただ一方で、情報発信のメディアとしてのテレビの強みにも改めて目を向けて欲しい。地上波のテレビドラマの視聴率が1桁台にしか到達していないと批判を受けることがあるが、“6%”という数値はすなわち“800万人”がその番組を見ているということ。これだけ多くの人口に同時接続できるメディアは他にないだろうし、今後テレビの役割が衰えることはないと考えている。テレビコンテンツの届け方やサービスの在り方は、テクノロジーの進化を上手に取り込んでいくことでより良いものにしていくことができるだろう」(船越氏)

 船越氏はさらに、動画配信サービスにとっての正念場はこれからだと強調する。

「業界では“2014年が動画配信元年”といわれたこともあったが、実際には全然そんなことない。私はこれから2015年後半、2016年を元年にできるよう勝負しなければならないと捉えている。なでしこジャパンの宮間選手の言葉を借りるなら、動画配信はまだ文化になっていない。そこへ昇華できるかどうかはこれからの努力にかかっている。Netflixの日本市場進出によってにわかに動画配信の周囲がざわつき始めているが、まだ始まったばかり。Huluだけでなく全ての動画配信事業者の頑張りにかかっている。危機感を持ちながら、動画配信を文化に育てていきたい」(船越氏)
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《RBB TODAY》

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