【木暮祐一のモバイルウォッチ】第82回 「Ingressで地域振興」、成功のカギを握るのは?
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2015年3月にはアプリが日本語化されたため、日本のユーザーも急増。Googleが本年6月に公表したデータではすでに世界でアプリが1,200万以上ダウンロードされており、世界25万人以上のユーザーがライブイベントに参加している。
日本のユーザー数はトップの米国に次いで多いという。アプリはGoogle PlayおよびApp Storeで無料で提供されており、アイテム課金も存在しない。Googleの提供するサービスとなっていたため、プレーするためにはGoogleアカウントが必要となっている。
このイングレスは、位置情報を活用し、現実空間にある文化的・芸術的・宗教的に重要な場所が「ポータル」としてスマホ上に表示され、このポータルを巡ってプレーヤーはエンライテンド(緑)またはレジスタンス(青)のどちらかの陣営に属し争奪するという陣取りゲームとなっている。
現実世界で展開されるというゲームの特性上、ユーザーが自分の住む地域であっても意外な名所・旧跡に出会えたり、地域のプレーヤー同士によるコミュニティが形成されるなどの面白さが認知されるようになり、日本語化と相まってユーザーは順調に増えているようだ。さらには岩手県や神奈川県横須賀市など、イングレスを観光振興に活用しようとする自治体も出現している。
■Googleから独立することになったイングレス
そんなイングレスだが、これまでGoogleが一部門のサービスとして提供してきたが、12日(米国時間)にNiantic LabsがGoogleから独立。Nianticとして「イングレス」、およびNiantic Labsが運営してきた観光案内アプリ「Field Trip」とともに独自に運営していくと、アプリを利用するユーザー向け告知メールが配信された。
これによると、ユーザーのすべてのイングレス関連データはGoogleからNianticに自動的に移管されるという。移管作業は告知日(12日)から30日以内となっており、移管を望まない場合は期間中にWebページからオプトアウトする必要があるとしている。オプトアウトすると、9月11日までにすべてのユーザーデータは削除され、元に戻せなくなる。
Googleはこの前日、持株会社Alphabetの設立とGoogleの完全事業会社化を発表している。NianticがAlphabet傘下の独立企業になるのか、あるいは完全にGoogleを離れるのかは不明だが、いずれにしてもこの再編の一環と考えるべきであろう。
位置情報を使ったゲームという性格上、ユーザーの行動履歴を含むさまざまなデータがゲームを通じてGoogleに収集されている。そのデータが移管されることになるのであろうが、そうしたデータがNianticによってどのように活用されるのかなど不明な点も多い。
《木暮祐一》
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