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【連載・視点】地域の資産を有効活用!下諏訪で生まれた「温泉ストーブ」

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温泉ストーブ
温泉ストーブ 全 6 枚
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■温泉を暖房に

 自宅に温泉をひいているのに半分以上を使わずに捨てている。しかも、部屋を暖めるためには石油ストーブをたいている。下諏訪で両親と3人で暮らす太田伊智雄さんは、かけ流しの温泉を自宅で使えるという環境に恵まれながらも、「どこか矛盾しているな」と疑問を感じていた。

 現在、温泉地として有名な下諏訪では7000世帯中1300世帯が自宅に温泉をひいている。温泉をひいている家の外には、一時的に湯管から引き込んだ湯をためる貯湯タンクが外に設置されており、湯は毎分1.8リットルがかけ流しになる。ちなみに、温泉を導入するためのコストは初期に約200万、月々18,000円かかる。「僕1人が風呂に入っても300リットルくらいしか使わないし、1日どんなに頑張っても1トン程度。のこりは捨ててるんです」(太田氏)。

 もともとメーカーでロボットの設計を行っていたエンジニアの太田さんは、冒頭のような思いとともにさっそく温泉ストーブの開発に取りかかった。「(温泉を熱に変えるには)車のラジエータのように熱交換器があればいいわけです。当時は、ラジエータの表面積や風量なども含め、最適化された設計がどんなものかわからないままやっていました」と太田さんは振り返る。まわりの反応は、温泉なんかで暖房できるわけがない、という冷たいものだった。結果は、やはり、多少は温まるもののの、温泉の成分で機器が腐食したり使えなくなったりというものだった。しばらくそのまま数年のブランクが空き、太田さんは、なんと蕎麦屋を開店する。何故蕎麦屋なのか?「うちの会社のコンセプトは、自分達が信州のローカルエネルギー(素材)とお客さんの間に立つということ」と太田さんが話す。ちょうどその頃、下諏訪のものづくりの連携・発信・支援のための拠点として「ものづくり支援センターしもすわ」が誕生した。太田さんはセンターに、かねてから考えていた自分の構想を持ち込み、結果、太田さんの会社であるヤマネコ クオリティ&デザイン、諏訪東京理科大学(熱工学)、D・R Pocket、支援センター、シナノ企画(販売・サポート)といった産官学の連携による「プロジェクトX-ONE」が4年前に始動した。
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《RBB TODAY》

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