【木暮祐一のモバイルウォッチ】第91回 ついに“自動運転”が国内でも承認! テスラ・モデルS「P85D」を一般道で試乗 2ページ目 | RBB TODAY

【木暮祐一のモバイルウォッチ】第91回 ついに“自動運転”が国内でも承認! テスラ・モデルS「P85D」を一般道で試乗

エンタープライズ 企業
“ハンドルとタイヤが付いたタブレット”ともいうべきテスラ・モデルSの自動運転機能を体験
“ハンドルとタイヤが付いたタブレット”ともいうべきテスラ・モデルSの自動運転機能を体験 全 14 枚
拡大写真
■すさまじい加速力なのに静か。いよいよ一般道で試乗!

 ということで、早速テスト車両で路上を走ってみることにした。試乗させていただいたテスラは、モデルSの「P85D」。「P」はパフォーマンスの意味、「85」はバッテリー容量(kWh)を、そして「D」はデュアルモーター(AWD)を表す。現在最もハイスペックな車両で、なんと0-100km/h加速は3.3秒! オプションの90kWhバッテリーにすればさらに0-100km/h加速は3.0秒になる。フェラーリ、ランボルギーニ、日産GT-Rに迫る加速だ。しかもテスラの場合、動力がモーターなのでエンジン音がなく、ほぼ静寂なまま「ひゅーー」という感じで加速していく。これが何とも不気味で、楽しい。

 さあ試乗である。テスラの形をしたかわいいインテリジェントキーをポケットに入れながら、ドアノブにタッチすると4つのドアのノブがせり出してくる。このギミックもたまらない。ノブに手をかけて重めなドアを開き、乗り込む。シートベルトを装着し、ステアリングコラム右にあるセレクターレバーを「D」に入れればテスラはスルスルと走り出す。なんともシンプルだ。

 オートパイロット機能を使用するには、タッチパネルで「コントロール」を開き、「ドライビングアシスト」のタブを選択して自動運転に関わる各種機能のON/OFFをあらかじめ設定しておく。とりあえずオートステアリング、自動車線変更をON、その他の諸設定を確定して、ドラインビングスタート。

 テスラのオートパイロットに関わる記事を見ると多くは高速道路での自動運転がレポートされている。ここではぜひ一般道、それも東京都心部での複雑な路上でのテスラの動作を観察してみたいと考えた。まずはテスラ広報ご担当のドライビングにより青山通りにあるテスラ青山を出発。オートパイロットの操作手順などを伺いつつ、表参道交差点を右折し原宿駅、代々木公園を抜け、井の頭通りを下る。そして笹塚周辺を回って甲州街道経由で新宿高層ビル街へ。

 ここで運転を代わらせていただき、いよいよ自分自身の操作でオートパイロットの体験である。まずは恐る恐る新宿高層ビル街の周辺をぐるぐると回りながら、オートパイロット関連操作の練習である。

 オートパイロットの操作は、ステアリングコラム左側、ウインカーレバー下に装着されているレバーで行う。テスラで走り出し、オートパイロットが利用可能な状態になると、速度表示の左右にメーターとステアリングのアイコンが白色で点灯する。これがオートパイロットに入れるスタンバイ状態だ。このアイコンが点灯した状態で、操作レバーを手前に1回引くとスピードアシストがONになり(白色点灯していたメーターのアイコンが青色点灯となる)、前方の車両に合わせてアクセルが自動操作されるようになる。テスラは道路ごとの制限速度も認識し、基本的には制限速度上限まで加減速してくれる。制限速度のオフセット設定もでき、上限は制限速度+10km/hまで設定できる。

 続いて、操作レバーを手前に2回引くと、今度はオートステアリングがONになり(白点灯していたステアリングのアイコンが青色点灯となる)、テスラが前方車両や車線を検知して自動で舵取りを始める。スピードアシストもさることながら、オートステアリングにはかなり衝撃を受けた。車線のラインにあわせてテスラが見事にステアリングをさばいていくのだ。オートステアリングでは、基本的に常にレーンの中央を走行してくれる。路上に何かしらの障害物があれば、それを避けるように走行する。たとえば路上駐車を避けるために対向車がセンターラインをはみ出してきたシチュエーションがあったが、テスラはそれを検知し対向車を避けるようやや左側に迅速に舵取りしすれ違っていった。

 複数の車線がある通りでも、ちゃんとレーンをキープしてくれる。車線のラインが薄いところもあったが、なかなかの認識のようだった。ライン以外に周囲の自動車や障害物などの情報も判断要素に加えているのであろう。一方でカーブなどで先の見通しが悪いところではオートパイロットが動作しないケースもある。たとえば、首都高速の台場出口のカーブは大丈夫らしいが、大橋ジャンクショントンネル内の延々と続くカーブは動作しないらしい。また、オートパイロット中にテスラが判断できなかったり、その他の危険がある場合はアラームが鳴りインパネには警告表示が出て、ステアリングもバイブしてドライバーに伝える。

■少しずつ自動運転の操作に慣れてきた

 ある程度、オートパイロットの操作に慣れたところで、あえて難関そうなコースに挑戦してみた。青梅街道から右折して山手通り(環状6号)に入り、中野坂上付近から中井付近までの間でオートパイロットに挑戦である。このあたりは、道は左右にカーブが続くほか、東中野駅付近は路上駐車が多いため左側レーンから自動車がはみ出してきたりと、何かと走行に気を遣う区間である。センターレーンで流れに乗ったところでオートパイロットをONにする。試乗した時は道路がやや混雑気味で2車線とも多くの車両に埋め尽くされ、それらが抜きつ抜かれつ、また車線変更を繰り返しながら進んでいる感じだった。そんななかでテスラは冷静に前方車両との距離を保ちながら、かつ見事にレーンに沿って走行してくれた。日本の交通法規上、ステアリングから手を放すことはできないので、軽く両手を添えた状態にしつつ、舵取りは完全にテスラに任せる形で前進していく。見事だ。

 また、アクセルワークのほうもテスラ任せだ。万が一の時にはすぐにブレーキを踏める状態にしつつ、テスラの判断で加速減速する様子を楽しんだ。前車が信号で停止すれば、テスラもちゃんと停止してくれる。そして前車が発進すると、テスラもスルスルと音を立てずに加速し前車に追尾していく。

 テスラの意に沿わないステアリング操作やブレーキ操作を行うと、オートパイロットは解除される。ちなみに一般道でもオートレーンチェンジは可能だそうで、車線変更したい方向にウインカーを出せば、テスラが自分自身が入れる車間を探し、そこに滑り込んでくれるという。さすがに試乗した日は混雑気味だったので、これを一般道で体験することはできなかった。また、何度かテスラに任せきりにできないシチュエーションにも遭遇し、そのたびにステアリング操作、ブレーキ操作などを行ってオートパイロットを中断させているので、山手通り・中野坂上~中井間を通しで自動運転できたわけではない。
  1. «
  2. 1
  3. 2
  4. 3
  5. 続きを読む

《木暮祐一》

特集

【注目記事】
【注目の記事】[PR]

この記事の写真

/

関連ニュース