MVNOの可能性を広げる?IIJ、“縛り”から開放された「フルMVNO」を2017年提供へ
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現在、IIJでは格安SIMサービス「IIJmio」などを展開しているが、NTTドコモの回線を間借りしている関係から、運営面で多くの制約を受けている。そこで同社ではフルMVNOに対応させ、より自由度の高いサービスを実現していきたい考えだ。説明会の冒頭、IIJ 代表取締役会長CEOの鈴木幸一氏が登壇して概要を説明した。
MNO設備への依存が高い従来のMVNO(ライトMVNO)に対して、フルMVNOではSIMカードを管理するデータベースであるHLR/HSSを自社で運営することになる。これにより独自のSIMカードの調達・発行が可能になり、自由なサービス設計が行えるようになる。NTTドコモ側の承諾が必要だが、IIJでは8月29日にNTTドコモに対して「加入者管理機能の連携」を申し込み、同日中に受理されている。
例えば市場の成長が期待されているIoTの分野では、組み込み型SIMの提供や課金・開通管理などを自由にコントロールできるようになる。鈴木会長は「新しいMVNOビジネスモデルの創出が期待できる」と期待感を口にした。
具体的には、(1)海外のMNO/MVNOと連携して海外のローミング時に最適な通信サービスを提供する、(2)組み込み型SIM(eSIM)や、耐振動性、耐候性を備えたSIMカードを提供する、(3)機器の製造ラインでSIMを組み込み、集荷後、必要なときに通信サービスを開通して利用可能にする、といった展開を想定。このほか、MVNEとしてパートナー企業にフルMVNOのプラットフォームを提供することで、パートナー企業がもつ顧客基盤やビジネスモデルに適した独自のMVNOサービスの展開を支援する、といったことも考えている。
鈴木会長は「フルMVNOにより、大手キャリアさんのスペックではない形でサービスを提供できる。今後、ワイヤレスをベースにしたネットワーク社会がやってくる。そこでIIJが培った経験と技術を、さまざまな形で提供していきたい」と抱負を述べた。来年度の後半から順次、IIJによる新サービスが提供されていく見込みだ。
■フルMVNO提供に至った経緯
続いてIIJ 取締役CTOの島上純一氏が登壇し、これまでの市場の成り立ちから説明した。移動通信にとって、使いやすい電波の周波数帯は決まっている。このため世界的にも、3~4社の通信事業者が移動通信を運営するケースが多い。日本でもNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に電波が与えられた。こうしたモバイル市場の成り立ちから、寡占が起こりやすいという問題がある。そこで、電波を持っていなくてもサービスを展開できるMVNOの必要性が生じてくる。
《近藤謙太郎》
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