実現できることは何か? 顔認証技術の最新トレンド | RBB TODAY

実現できることは何か? 顔認証技術の最新トレンド

IT・デジタル セキュリティ
オムロンアミューズメントの顔認証システム「Ma:sus(マーサス)」の画面。出入り口に設置したカメラで入退店を把握する。のめり込み防止ソリューションは、「Ma:sus(マーサス)」の応用例として紹介されていた(撮影:防犯システム取材班)
オムロンアミューズメントの顔認証システム「Ma:sus(マーサス)」の画面。出入り口に設置したカメラで入退店を把握する。のめり込み防止ソリューションは、「Ma:sus(マーサス)」の応用例として紹介されていた(撮影:防犯システム取材班) 全 6 枚
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 効率的な入退室管理や、効果的な万引き防止、徘徊対策として注目を集める「顔認証技術」。監視カメラなどがとらえた顔画像を解析することで、個人を識別するというのが顔認証技術の根幹となる概念といえる。

 今回は、顔認証技術を活用例としてユニークな事例を中心に紹介しながら、顔認証技術の最新トレンドをまとめていく。

●パチンコへの「のめり込み」を防止

 まず最初に紹介するのは、2015年3月17日・18日に東京ビッグサイトで開催された「パチンコ・パチスロイノベーションフェア2015」にて、オムロンアミューズメントが参考出展した「のめり込み防止ソリューション」。



 同社の顔認証システム「Ma:sus(マーサス)」を使った応用例となるが、家族などから要請があった利用客に対して、月何回以上来店したら家族に通知するといった設定をすることで、過剰なのめり込みを防止するというものになる。顔認証を使うことで、スタッフが該当する利用客の顔を認識していなくても、対応できるのが大きな特徴となる。

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●印刷物の置き忘れによる情報流出を抑止!

 お次は、プリンターや複合機と顔認証技術を組み合わせたシーイーシーの認証印刷ソリューション「SmartSESAME SecurePrint!」。元々は、ICカードや指静脈認証に対応したソリューションだったが、NECの顔認証エンジン「NeoFace」に対応させることで、セキュリティを保ちながらも、スマートな印刷が可能になる。



 ちなみに顔認証を利用することのメリットは、IDカードの印刷ならカードの持ち出しによるなりすましもできてしまうが、顔認証ならそうしたことが防げる。

 また、カメラの前に立つだけで認証されるので、指静脈認証よりもスマートな運用ができる。そして、仮に情報流出があった場合には、認証時に撮影された顔データを元に、流出経路の特定などもしやすくなるとのこと。

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●スマートロックとの連携で安全を強化

 3つ目は、LYKAON(リカオン)が、2016年3月8日から東京ビッグサイトで開催された「SECURITY SHOW 2016」で参考出展した同社の顔認証技術と、スマートロックを連携させたシステム。



 一般的にスマートフォンなどで解錠できるスマートロックは、便利で手軽な反面、スマートフォンを無くしたり、盗まれた場合を考えると不安が残る。従来の物理キーでも同様のリスクはあるが、物理キーよりもはるかに膨大な情報が詰まっているスマートフォンにキーの機能を持たせることには、一定のリスクがあることは否めない。

 そこで顔認証技術と連携させることで、スマートロックの特徴である気軽さや便利さをより高め、さらには運用の仕方を考えれば、スマートロックが持つリスクを低減することができるというのが、同システムの大きな特徴となる。

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●マーケティング活用もできる顔認証技術

 続いては、顔認証技術による店舗や商業施設におけるマーケティング活用。防犯や介護への活用で注目を集める顔認証技術だが、実店舗でのマーケティングツールとしても期待されている。



 それというのも冒頭で、画像解析により個人を識別することが顔認証の根幹となる概念だと書いたが、応用例としては個人の年齢や性別、表情などを推定することもできるからだ。

 ベースとなる顔認証エンジンにより、できることは変わってくるが、年齢や性別の推定に対応するものは少なくない。

 例えば、セキュアの店舗マネージメント向けの画像解析ソリューション「STORE ANALYTICS」シリーズで採用されている顔認証ソリューション「FACE」(フェイス)は、来店者の顔画像から性別や年齢を推定できる。出入り口や、主要な売り場などに導入すれば、主要な客層や人気の売り場、混雑する時間帯などのデータを客観的な方法で収集できるのだ。

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●事前登録不要で運用できる顔認証

 そしてもう1つ、マーティング活用という点では、商業施設などでの待ち時間・滞在時間計測に用いることを想定したNECの顔認証技術は、先進性のある技術の1つだといえる。

 同技術は、「C&Cユーザーフォーラム&i EXPO 2016」において参考出展されていたものだが、会場内動線に複数の監視カメラを設置し、同技術を展示するブースに立ち寄るまでにかかった時間やその都度撮影された顔画像の中から、同一人物として特定されたものを一覧で表示するというもの。



 この技術の先進性は、あらかじめ顔画像を手動で登録するという作業が不要で、入口のカメラでとらえた顔画像を元に、リアルタイムで他のカメラがとらえた顔画像と照合し、個人を識別した上で、各人の移動時間や滞在時間をリアルタイムで算出することができる点にある。

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●表情の推定もできる顔認証技術

 最後は、オムロンが、幕張メッセで開催されていた「第2回 IoT/M2M展 秋」にてデモ展示していた顔認証モジュール「ヒューマンビジョンコンポ(HVC-P2)/B5T-007001」シリーズ。顔認証、人体、顔、手の検出をベースに、顔の向き、視線、年齢、性別、表情の推定ができる同社の画像センシング技術「OKAO(R) Vision」を搭載している。

 この技術で興味深かったのが、表情推定。カメラがとらえた画像から、「真顔」「喜び」「驚き」「怒り」「悲しみ」といった形で表情を分類し表示することができるのだ。



 一般的に画像解析による表情の認識は、笑顔なら認識しやすいものの、怒りや喜び、悲しみといった表情は、サンプルデータが少なく、推定が難しいと言われている。

 しかし、同展でデモ展示されていた「ヒューマンビジョンコンポ(HVC-P2)/B5T-007001」シリーズでは、画像を見る限り、推定された表情と取れなくもない画像も多く、今後、サンプルとするデータが増えていくことで、より精度が向上していく可能性を感じさせる。

 今後、精度が向上していけば、店舗や商業施設などにおいて、表情推定を活かして利用客の満足度などを測るといったことも実現するかもしれない。

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 今回紹介した技術は、顔認証のトレンドを知る上でのほんの一例に過ぎないが、現在も各社がしのぎを削りながら、技術開発を進めており、今後の性能向上および活用例において、目が離せない状況だとといえる。

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《防犯システム取材班/小菅篤》

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