音声通信のクラウド化、中小企業向けにニーズ | RBB TODAY

音声通信のクラウド化、中小企業向けにニーズ

エンタープライズ ハードウェア
クラウド型PBXの利用意向(マイボイスコム調べ)
クラウド型PBXの利用意向(マイボイスコム調べ) 全 4 枚
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 成長いちじるしいクラウドサービスだが、日本の中小企業ではまだ導入が進んでいない。そのため経産省では2014年度に、「中小企業等のクラウド利用による革新的省エネ化実証支援事業」をスタートさせた。これにより、中小企業も、補助金・助成金を活用可能となった。

 これを受け注目が進んだのが、PBX(構内交換機)やビジネスフォンといった“音声コミュニケーション”のクラウド化だ。メールやグループウェアが普及したとはいえ、電話による音声コミュニケーションは、とくに中小でのビジネスには欠かせない。また最近では、携帯電話/スマートフォンとの連携も重要となっており、「スマホの内線化」は注目度が高い。

■潜在的なニーズから高まった、音声クラウドの潮流

 マイボイスコムが6月12日~14日に実施した『企業のクラウド化について』のアンケート調査(経営者150名、情報システム・総務担当者150名、計300名が回答)では、クラウドサービスの導入を通して、「ハードウェアのコスト(固定資産)の削減(62.8%)」「運用・メンテナンスコストの削減(51.8%)」がとくに期待されているほか、クラウドサービス活用による「業務効率の向上(45.3%)」もクラウドサービスの導入時のモチベーションとして高い数値を示している。

 具体的な導入では、「ストレージ(57.7%)」「メール(54.7%)」「グループウェア(49.6%)」が、クラウドサービスとして主に導入されているが、オフィスに必須の「電話」システムについては、わずか7.3%しかクラウド化されていない現状も明らかとなっている。一方で、「PBX/ビジネスホンをクラウド化する」という意向は、経営層では46.6%、さらに情報システム・総務担当者では58.9%にものぼっている。そのメリットでは「PBX等の保守・メンテナンス(設定変更等)費用の削減(63.1%)」 「PBX等の導入費用の削減(62.2%)」といった、クラウドならではのコストメリットに加え、「ロケーションにとらわれない内線構築が可能(40.5%)」が前向きに捉えられている。

 実際、電話システムに関する要望では「ロケーションにとらわれない内線構築 (社員の内線電話が、外出先やフリーデスクでも使用可能になる)をしたい(56.0%)」 「外出時の社員同士や社員/会社間の通話料を、無料にしたい(77.0%)」と感じている人が多く、こういった潜在的なニーズから、いままで見落とされがちだった、「“音声コミュニケーション”のクラウド化」に注目が集まっているようだ。

■現場が語る“音声コミュニケーション”のクラウド化

 こうしたサービスのひとつが、NTTコミュニケーションズの「Arcstar Smart PBX」であり、2014年4月にサービスを開始している。今回サービス開始後の反響についてサービス担当者に尋ねた。

 「Arcstar Smart PBX」は、PBXをクラウド化してBYODとFMCを融合したソリューションを提供するものだ。こういう製品を待っていたというユーザーが多かったようで、その反響は非常に大きかったという。特定の業界という傾向もなく、幅広い業界から多くの引き合いがあるとのこと。さらに想定外の事例として、「オフィスの電話を完全にスマホだけで内線化した事例」や、「『ナビダイヤル』と併用して簡易なコールセンターとして導入した事例」などもあったとしている。

 この反響について、同社サービス担当者は「PBXやビジネスホンの更改や拠点の統廃合や新設などをきっかけに検討されているケースが非常に多く、クラウド化するものとして日頃見落とされがちではあるものの潜在的なニーズは高く、通信設備の新設や更改時に検討するタイミングで顕在化していると考えております」とコメント。

 また導入契機・決め手としては、「PBX/ビジネスホンのクラウド化による設備コスト(リース代、保守・管理コスト)の削減」と「スマホの内線化(FMC・BYOD)によるワークスタイル変革」の2つをあげている。とくに、「個人のスマホを内線端末として利用(BYOD)することにより、さらにコストメリットが期待できます」と指摘。他のクラウド型PBX(FMC)サービスなどと比較して、「キャリアフリー」「デバイスフリー」で利用できるので、社員の利用しているキャリアや端末がバラバラでもBYOD導入も行いやすい点が評価されているようだ。

《冨岡晶》

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