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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第78回 医療・ヘルスケアデータ収集の行く末は!?

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「Apple社が目指す医療・ヘルスケアの再デザイン」と題して基調講演を行った、ジャーナリストの林信行氏
「Apple社が目指す医療・ヘルスケアの再デザイン」と題して基調講演を行った、ジャーナリストの林信行氏 全 3 枚
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■米国ではiPhoneアプリが「医療機器」として認可も

 「ResearchKit」は、HealthKitからさらにもう一歩踏み込んで、医療研究および健康のプラットフォームにしていく目的で提供が開始された。iOSデバイスを持っている全てのユーザーが、自身の意思で医療研究に参加したり、自身の病気の症状を追跡するのに役立てたり、かかりつけ医師と情報を共有するプログラムに加わる機会を提供する、といったことを狙っている。

 iPhoneのユーザーは全世界に数億人いるわけであり、すべてのユーザーとまではいかなくとも、難病の克服のためにiPhone等を通じて調査研究に協力してくれるユーザーは相当数に上ると考えられる。これまでの医学研究に比べ、桁違いに数が多く、幅広いデータを収集することで、研究に活用してもらおうというフレームワークである。

 現時点で対象としている疾患は、ぜんそく、パーキンソン病、糖尿病、乳がん、心臓疾患の5つである。すでに米国の大学などの機関がResearchKitを使った研究に名乗りを上げている。

 一方で、法的な課題も少なくない。現行のResearchKitは、米国と中国の法律にしか適合していない。米国は医療・ヘルスケア分野のICT利活用について比較的積極的であり、たとえばiPhone上で動作するアプリや、iPhone周辺機器が「医療機器」としての認可を受け、実際の医療や健康管理の場面で活用され始めている。

 では、日本はどうか。日本では従来の薬事法によって医療機器が定義され、医療機器として規制されるものに関しては認可が必要であった。しかし、昨年この薬事法が改正され、医療機器の解釈も変わりつつある。シンポジウムでは、林信行氏から愛知医科大学特任教授である深津博氏にバトンタッチし、改正薬事法(医薬品医療機器等法)とそのコンプライアンスについて、解説が進んでいった。
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《木暮祐一》

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