【連載・視点】海外需要を捉えて成功した日本の伝統工芸……岩鋳の南部鉄器
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
そう語るのは岩鋳の代表取締役副社長の岩清水弥生氏だ。盛岡駅から約15分ほどのところに本社を構える岩鋳。明治35年に創業し、100年以上にわたって南部鉄器の伝統を守り続けている老舗である。重厚感にある鉄瓶は1から10まで手作業で、道具のハケも草から作る。一人前になるまでに10年はかかるという。本社の横には見学コーナーが設置されており、実際の製作工程を見ることができる。
今でこそ知らない人はいないといわれるほどの工芸品を作り続けている同社だが、時代の影響をもろに受けてきた。盛岡はもともと観光業が栄えていた地域であもある。弘前、角館などに行く目的の人たちが盛岡で下車し、岩鋳にも来てくれたという。しかし、新幹線が青森まで伸びると盛岡は通過点に。そして東日本大震災で大きく減少した。「こんなに広くしたのは観光のお客様のためなんですよ。今困ってるんですよ」と、岩清水氏は笑いながら話す。
「これから国内の売上げは減っていきますか?」、そう聞くと「あぁ、もちろんそれはそうですね」と岩清水氏は即答する。しかし、それでも同社が生き残っているのは現実を見ながら時代に合わせた経営を行ってきているからだろう。
「私共は伝統工芸品に認定されている鉄瓶作りからはじまったんですけど、しだいにアルミや色んな素材がでてきて、鉄はおされてきました。それが昭和30~40年くらいでしょうか。それで鉄瓶だけでは負けてしまうということで、当時で言えばすき焼き鍋などの鍋作りや灰皿などを手掛けました。ある程度大量生産可能な機械も導入しました」(岩清水氏)
現在では現在の感覚に合わせたお洒落なキッチンウェアや急須も注目されている。「例えばすき焼き鍋はテフロンよりも油の浸み込みも良くふっくらと焼けるんです」と岩清水氏はアピールする。相次ぐ注文に生産は大忙しで、今から申し込んでも1年待ちの状態。鉄瓶は店にもないという。
しかし、もっと驚かされるのは、売り上げの半分が海外であるという点だ。もともとフランクフルトのイベントなどに出展して海外向けにアピールしていたことはあったが何故人気がでないのかわからなかったという。当時は普通の黒い急須を出品していた。
《RBB TODAY》
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